令和6年の将棋界、2つの注目ポイント!
明けましておめでとうございます。
今年の将棋界も、藤井聡太八冠がタイトルを全て防衛するのか?
それとも、渡辺、永瀬、豊島など中堅が巻き返すのか?
あるいは、若い新星四段が出現するのか?
こんな点を挙げるのが、まあ、常識的なところでしょう。
しかし、「観る将ファン」歴45年の私の注目ポイントは、違います。
先ず、八冠全冠制覇した聡太君は、何に努力するか?
です。
そして、
答えは、藤井聡太八冠はプログラマを目指す!
です。
これが今年最大の注目ポイントです。
次に、2番目の注目ポイントは、大盤解説です。
他のスポーツや競技は大体3時間以内であるのに対し、将棋は、10時間以上ファンを拘束します。
これは大きな要素。よって、大盤解説者や聞き手の専業化が、喫緊の課題となる。
以上、この2つが今年の注目ポイントだと思います。
棋士はプログラマを目指す
ここ3年、聡太君がゲーミングマシンをハードに用いるようになって、アッという間に、トップ棋士の殆どが右へ倣えで導入しました。
その目的は、研究時間の短縮です。
しかし、個人所有のハードスペックの競争は、昨年で終焉を迎えました。(註1)
加えて、今まで将棋ソフト(AI)は、無料で公開されていたのですが、今後、最新ソフトは、有料となる。(註2)
よって、今年から、HEROES(ヒーローズ)の運営する従量制クラウドコンピューティング「棋神アナリティクス」を利用する棋士が出て来る。(クラウド派)(註2)
即ち、従来のオンプレミス派(自宅パソコン内だけで完結する)とクラウド派に分かれる。但し、どれ位の比率になるかは、不明です。
因みに、隣の囲碁界では圧倒的にクラウド派が占めている。これについては後日記事を書く。
しかし、将棋ソフトが強くなろうが、ハードスペックを幾ら上げようが、鼬(いたち)ごっこ。
研究時間は、増える一方で、追いつかない。
一番の課題は、ハードやソフトではなく、どんな視点で研究するかです。
では、具体的にどんな視点があるか、
「人間(棋士)が難しいと感じる局面の解明」
棋士は一体どんな要素を「難しい」と感じるのか?その要素の分析、把握のこと。
です。
何故なら。
いくら強いソフト(AI)を活用しようが、人間が全ての手順を記憶しなければならないのでは、苦労や努力の割に勝率が低い。
ならば、どうすれば、勝率が高いか?
それは。
現在の定跡の落とし穴の局面を見つける。
または、
極々しぜんな手順で、人間には互角と映るが、実は、大差だった局面を見つける。
これを「裏切りの局面」と呼びます。
そして、この「裏切りの局面」を如何に短時間で探すか、が、重要な鍵となります。
現在の将棋ソフト(AI)は、ソフト同士が対戦して勝つことが目的で作られています。
だから、人間の「裏切りの局面」を探すように作られていません。
加えて、この「裏切りの局面」は一度しか使えない。
翌日には、他の棋士の知るところとなり、対策が練られているからです。
さらに、今年のテーマは「裏切りの局面」を探すことかも知れませんが、数年先は、違う課題となるかも知れません。
では、どうするか?
ここで、3つの選択肢に分かれる。
1つ目は、従来通り、コツコツと手作業で行う。
2つ目は、プログラマに頼んで、独自のソフトを有料で開発して貰う。
3つ目は、自分自身がプログラムの勉強をして、独自のソフトを作る。
この3つです。
3つ目は、現在、谷合廣紀四段がやっています。
正に新世紀の棋士です。
私が予想するに、聡太君もこの3つ目の道に進む、要するに、プログラマを目指す、と思います。
これが、今年の最大の注目ポイントです。
大盤解説者や聞き手の専門家の養成
「大盤解説論」シリーズをお読み下さい。
註解
註1.個人所有のハードスペックの競争は、昨年で終焉
棋士が自宅に設置できるパソコン(ゲーミングマシン)は130万円もの大枚を支払っても、2年後には買い替えなくてはならない。
しかし、倒す相手の聡太君は、日本AMD社と広告契約をして無償で最新機種が手に入る。
よって、他の棋士は、必然的にハード面では、クラウドコンピュータへ向う。クラウドコンピュータは、企業が所有する大型コンピュータで、家庭用のパソコンの10倍以上の性能を持ち、買い替えの必要がない。
註2.今後、最新ソフトは、有料となる。
HEROZ株式会社の2022年5月6日付の記事
今後はディープラーニング系将棋AIには高額な開発費もかかることから、ライセンスの問題も想定しております。(有料化)
「棋神アナリティクス」とは、
ブラウザ(スマートフォンも含む)で手軽に最新のディープラーニング系将棋AI「dlshogi」とやねうら王系将棋AI「水匠」での同時解析が出来るサービスです。高額な初期投資をせずに、ボタン一つで誰でも簡単に操作できます。今後「dlshogi」最新モデルは「棋神アナリティクス」でのみ提供となります。加えて、コンピュータ将棋大会で優秀な成績を収めた将棋AI開発者と連携し、最新モデル提供も予定しています。