持将棋は立派な作戦
「伊藤七段が持将棋を研究している」と前夜祭で語ったらしい。
そして、今回、見事にその成果を披露した。
ネット上では、伊藤を非難する声が散見されるが、トンデモナイ!
持将棋戦略は、対藤井八冠を考える上で、立派な作戦である!
しかし、ABEMAの大盤解説を聴く限りでは、誰もこれについて詳しく説明しなかったので、私が、解説を試みる。
聡太君のタイトル戦の戦績は、相手が1勝するのがやっとで2勝すれば上出来。(次項に詳細あり)
さらに伊藤七段は、タイトル戦以外の対局も含めて、聡太君に一度も勝ったことがない。(藤井6勝、伊藤0勝)
だから、伊藤七段は、今回の五番勝負、1勝するのが目標、精一杯と予想するのが妥当だ。
ならば、普通に五番勝負を戦っていたのでは、勝機はない。
その答えが、持将棋戦略。
どう言うことか?
私は、持将棋は0.5勝とだ、とばかり思い込んでいた。
これはどうも40年前の常識らしい。
現在では、持将棋は無勝負の扱いで片方が3勝するまで(七番勝負では4勝)対局数を増やす。
ならば、伊藤七段の狙いは、聡太君の先手番を、この持将棋で潰す。
そして、多少でも有利な自分の先手番のみで勝負する。
これが目的となるのだ。
なるほど!
これも立派な戦略です。
藤井聡太八冠の戦績
【藤井聡太八冠(名人・竜王・叡王・王位・王将・棋聖・棋王・王座)の戦績】 2024年2月3日現在
今年度(2023年度)の勝率.867(39勝6敗)。
通算勝率.867(357勝69敗)。
タイトル戦の戦績は、19回登場19回制覇。勝率10割。
タイトル戦の対局単位では、勝率.807(83局67勝16敗)。
〔七番勝負の戦績〕
4勝3敗は0回
4勝2敗は2回
4勝1敗は4回
4勝0敗は4回
〔五番勝負の戦績〕
3勝2敗は1回
3勝1敗は6回
3勝0敗は2回
相手が2勝(聡太君が2敗)する確率は、19回のうち3回16%。
相手が1勝(聡太君が1敗)する確率は、19回のうち10回53%。
相手が0勝(聡太君が0敗)する確率は、19回のうち6回31%。
要するに、相手は「1勝するのが、目標。2勝すれば上出来」となる。
ニュース冒頭
第49期 棋王戦 五番勝負 第1局
▲藤井聡太棋王 vs △伊藤匠七段
対局日:令和6年(2024年)2月4日(日)
場所:富山県魚津市「新川文化ホール」
結果:130手で持将棋成立。
開始時刻:9:00
終了時刻:17:35