週刊・将棋速報(2023年10月9日号)

挑戦者の爽やかな勇気

竜王戦第1局、聡太君、勝ちましたね~

「藤井曲線」―序盤から優勢を徐々に拡大していって勝ち切る―と称される勝ち方。

結果だけ見れば、聡太君が強かった印象しかありませんでしたが、伊藤君側から考えると、ちょっと違う。

先ず、タイトル戦に不馴れだった。(註1)

にも拘らず!!

驚きましたね~

いきなり、封じ手やったんですよ~

伊藤君、爽やか!

勇敢!

男前!

彼の性格の良さは、ABEMAトーナメントで知ってましたからね。

その上、勇敢なんですから。

もう!もう!

旦那様として、世の中の若い女性に推薦します!

いや~、将棋界には、なんでこんなに性格の良い男が多いのかしら。

さあ、次の第2局。

伊藤君は、きっと実力を発揮するでしょうから、面白くなりますよ~

楽しみ!

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〔封じ手のエピソード1〕

昔、第54期(1996年)名人戦で、初挑戦の森内俊之八段(当時)が封じ手時刻直前に指したことがありました。

立会人や関係者は、

「すわ!喧嘩売ったか!」

って、ちょっとした騒ぎになったんです。

でも、森内の穏やかな性格から考えて、有り得ない。

対戦相手の羽生名人(当時)も、全く意に介さず、平然としていたので、トラブルにはならなかった。(詳しくは「封じ手の駆引き」を参照)

後日、森内に訊くと、「初めてなので封じ手をやりたくなかった」と言うことだった。

それが、普通の神経、心理なんですよ。

〔封じ手のエピソード2〕

藤井聡太竜王の初めての二日制のタイトル戦は、2020年の王位戦七番勝負。

封じ手の練習を事前に自宅でしていたそうですね。

それに和服にも馴れる為に、自宅で一日中過ごしてみたとか。

〔封じ手のエピソード3〕

佐々木大地七段は、初めての二日制のタイトル戦、今年2023年の王位戦七番勝負。

師匠の深浦康市九段に、封じ手の練習だけでなく、タイトル戦の色々な留意事項を教わった。

彼も第1局で封じ手をやっていますが、どちらかと言うと、藤井王位が封じ手を渡した印象でしたね。

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【対局ニュース】

第36期 竜王戦 七番勝負 第1局
▲伊藤匠七段(20歳)vs △藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖、21歳)
対局日:令和5年(2023年)10月6-7日
場所:東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」
持時間:各8時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:9時
終了時刻:17時02分
結果:82手で後手・藤井竜王の勝ち。

藤井竜王は、シリーズ成績を1勝0敗。

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【プロフィール】2023年10月6日現在

伊藤 匠(いとう たくみ)七段

棋士番号:324
生年月日:平成14年(2002年)10月10日生、現20歳
出身地:東京都世田谷区
師匠:宮田利男八段
竜王戦:5組
順位戦:C級1組

四段昇段:平成32年(2020年)10月1日、17歳。
七段昇段:令和5年(2023年)8月14日、20歳。
棋戦優勝など:1回(新人王戦 第52期‐2021年)

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【註解】

註1.先ず、タイトル戦に不馴れだった。

不馴れだった点。

1.タイトル戦自体が初めての経験。
2.和服での長時間の対局。
3.和服の着方、所作、など。
4.対局場がホテルや旅館。(今までの将棋会館とは違う)
5.第1局が観客に見守られる公開対局。
6.二日制のタイトル戦で封じ手がある。