週刊・将棋速報(2023年5月29日号)

振飛車は大いに有効だ!

叡王戦第4局、藤井叡王が勝ち、防衛!

なんと千日手二度!

それにしても、流石!振飛車党最強の菅井八段、健闘しましたね~

唯一菅井が勝ったのは、第2局の相穴熊戦でした。

聡太君対策だったんですね。

終盤が読み易いから、逆転され難い。

序盤巧者の菅井八段の長所が活きる。

本局も形勢はずっと後手有利。

こりゃ、菅井勝ったな、と思った。

いくら相穴熊戦と言っても、終盤は難しいんですね。

結果は聡太君の勝ち!

菅井八段は、残念でした。

それでも、振飛車が聡太君に対して、大いに有効だったことは証明されました。

ところで、菅井八段。

ABEMAトーナメントを観戦された方はご存知でしょう。

菅井八段の面白さを!

彼をリーダーに、船江六段と西川六段とのチーム。

三人の仲の良さは画面一杯に伝って来ましたね。

普通は負けて戻って来た仲間を労る。

労(いたわ)る

しかし、菅井リーダーは、労るどころか、「ちゃんとして!ちゃんと!」の叱咤激励!

爆笑してしまいましたねえ。

関西特有のノリで、面白かったなあ。

菅井八段、是非、またタイトル戦に登場して欲しいものです。

今度は、持時間8時間で。

特集:注目の棋士「近藤誠也 七段」

今期、令和5年度(2023年度)、注目の棋士は、近藤誠也七段です。

人生とは不思議なものですね。

近藤七段は、4年前の順位戦 C級1組で聡太君(当時五段)に勝って、連続昇級を阻みました。(註1)

しかし、B級1組で足踏みしている間に、追いつかれた。

近藤は、A級で聡太君を待つ計画だった。

その計画が崩れたのは仕方ないとして。

佐々木勇気七段(当時)まで、一緒にB級1組に昇級して来たのが、癪に障った。

癪(しゃく)に障(さわ)る

近藤は25歳、佐々木は23歳。(第80期順位戦当時)

棋士(四段)になったのは、佐々木が5年早かったが、順位戦では追い抜いた。

実力的には、自分の方が上、と、近藤には自信があった。

この気負いが、約1年間に亙る大スランプを招いた。

前々期、第80期 B級1組4回戦、対佐々木勇気戦。(註2)

持時間が、まだ100分以上残っていたにも拘らず、僅か8分で△6六銀と指した。

相手が格上なら、間違いなく、腰を落として長考した。

フン!こんな奴!

と、侮る油断があった。

急所の局面で読みを欠いた。

これが取り返しのつかない敗着になろうとは・・・

格言「相手を舐めても、将棋を舐めるな」を身をもって経験した。

絶対に負けたくない相手に敗れた。

余程ショックだったのだろう、その後、黒星が続き、聡太君にも敗れた。(註3)

ここからスランプが始まった。

昇級どころか、降級争いに巻き込まれる始末。

更に、前期(第81期)4回戦まで4連敗!

都合、順位戦、12連敗!

近藤!もう終ったか!?

と、周囲を心配させた。

しかし、5回戦から8連勝!

本来の自分を取り戻した。

ここで約1年間のスランプ脱出!

A級昇級に、あと一歩のところまで肉迫したのだが・・・残念!

もう一歩、もう白星一つ、スランプ脱出が早ければ・・・

しかし、この近藤のスランプがあったればこそ、前期の佐々木勇気がA級昇級できた。

前々期(第80期)の聡太君のA級昇級も、影響を受けた。

もし、近藤が、4年前の聡太戦で負けて、聡太君を追いかける立場だったら・・・

前期(第81期)B級1組は、近藤が佐々木より先にA級へ昇級し、逆の結果になっていた可能性が高い。

そう考えると、人生は不思議なものです。

でも、今度は、近藤の番です。

さあ!借りを返して貰いましょう!

頑張れ!近藤誠也!

今期(第82期)B級1組の近藤誠也に注目です!!

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【対局ニュース】

第8期 将棋 叡王戦 五番勝負 第4局
<千日手2局後の指し直し局>
藤井聡太叡王(竜王・王位・王将・棋聖・棋王)vs 挑戦者・菅井竜也八段
対局日:令和5年(2023年)5月28日(日)
場所:岩手県宮古市「浄土ヶ浜パークホテル」
持時間:各4時間(チェスクロック方式)
開始時刻:9時
終了時刻:21時8分
結果:90手で後手・藤井叡王の勝ち。
七番勝負シリーズの成績は、藤井3勝、菅井1勝で、藤井叡王タイトル防衛。

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【プロフィール】2023年5月27日現在

近藤 誠也(こんどう せいや)七段

生年月日:平成8年(1996年)7月25日、現26歳
出身地:千葉県八千代市
師匠:所司和晴七段
竜王戦:3組
順位戦:B級1組

四段昇段:平成27年(2015年)10月1日、19歳
棋戦優勝など:なし

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【註解】

註1.順位戦 C級1組で聡太君(当時五段)に勝って・・・

第77期 順位戦 C級1組 10回戦
▲藤井聡太七段 vs △近藤誠也五段
対局日:平成31年(2019年)2月5日(火)
場所:関西将棋会館「水無瀬の間」
持時間:各6時間(チェスクロック方式)
開始時刻:10時
終了時刻:23時37分
結果:136手で△近藤五段の勝ち。
結果、リーグ成績は、近藤8勝1敗、藤井8勝1敗。
<リンク:第77期 順位戦 C級1組 対戦表

註2.対佐々木勇気戦。

第80期 順位戦 B級1組 4回戦
▲佐々木勇気七段 vs △近藤誠也七段
対局日:令和3年(2021年)7月15日(木)
場所:東京・将棋会館「雲鶴の間」
持時間:各6時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:10時
終了時刻:24時14分
結果:105手で▲佐々木の勝ち。
結果、リーグ成績は、近藤1勝2敗、佐々木4勝0敗。
<リンク:第80期 順位戦 B級1組 対戦表

註3.聡太君にも敗れた。

第80期 順位戦 B級1組 9回戦
▲近藤誠也七段 vs △藤井聡太竜王(王位・棋聖・叡王)
対局日:令和3年(2021年)12月2日(木)
場所:関西将棋会館「御上段の間」
持時間:各6時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:10時
終了時刻:24時29分
結果:114手で△藤井竜王の勝ち。
リーグ成績は、近藤2勝6敗、藤井8勝1敗。
<リンク:第80期 順位戦 B級1組 対戦表

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