佐々木大地七段の不思議な魔力を見た!
棋聖戦第1局、聡太君が順当に勝った様に見えますが、
聡太君だからこそ、勝てた!
他の棋士では、逆転負けしていた。
と、思います。
佐々木の戦型選択が大注目でしたが、なんと聡太君得意の「角換腰掛銀」を選んだ。
当然ですが、周到な用意と自信なくして選ばない。
恐ろしさを感じますねえ。
当の聡太君は、平然としていますが・・・(笑)
この点を解説者は、強調して欲しいなあ~
84手目まで藤井曲線。
AI(将棋ソフト)が示す評価値が、51%から始まって55%60%70%と徐々に優勢拡大し、終盤78%、勝勢。
誰もがこのまま終局する、と思った。
若手強豪とは言え、まだまだ、聡太君には及ばないな!
格が違う!
と。
しかし、そんな軟な七段が、二棋戦同時挑戦者に成れる筈もなく、毎年高勝率を上げる筈もない。

軟(やわ)な
今期はここまで11勝1敗!勝率9割超え!
熱心な将棋ファンなら、佐々木のことを知っている。
投了するまで、油断出来ないぞ!
と、固唾を呑んだ。
ABEMA解説者で友人の黒澤怜生六段が「大地君は不思議な逆転勝ちをする」と予言した直後。
突然、聡太君は疑問手を指した。
85手目▲5二と!
評価値、互角!
やっぱり!!
もう勝敗は分からなくなった。
でも、結局、聡太君が、薄氷を踏むが如し、で勝った。
繰返しますが、他の棋士だと逆転負けしていた。
いや、いや、佐々木大地の恐ろしい魔力を魅せられましたね~。
なるほど、好調の羽生善治九段を下し、渡辺明名人(当時)に二度勝ち、永瀬拓矢王座を破った理由(わけ)だ。
納得しました。
これからの棋聖戦、王位戦が楽しみですね。
〔追記〕
85手目▲5二とが、疑問手かどうか、本当のところは解りません。
将棋の神様は勝敗を知っていますが、AI(将棋ソフト)の互角判定は「解りません」と宣言しているのと同じです。
ただ、間違いない事実は、佐々木が、非常に複雑な変化を含む局面へ導いた、と言うことです。
特集:注目の棋士は「伊藤匠 六段」
今期、令和5年度(2023年度)、注目の棋士シリーズ2人目は、伊藤 匠 六段です。
ABEMAトーナメントを視聴されている方は、ご存知でしょう。
伊藤は、第4回で、「チーム藤井」のメンバーでした。(註1)
その時の第一印象は、
声のトーンが低く、余り笑わないし、何だか暗~い性格の男の子だなぁ(伊藤六段ゴメンナサイ!)
ですよね。
チームのドラフト会議が行われた頃は、伊藤が四段になって3ケ月ほど。
同年齢とは言え、将棋界のスター聡太君に指名され、ABEMAに出演。
若干17歳の少年は、緊張したでしょう。
ABEMAトーナメントは、公式戦ではありません。
普通に考えれば、自分の秘密研究手を披露したりしない。
とは雖も、記念対局とも違いますし、チーム戦です。

雖(いえど)も
優勝賞金一千万円もある。
皆、どうするのかなあ、と、興味津々でした。
伊藤は、どうしたか?
なんと、惜しげもなく、新手を披露しました。
私は、新人で緊張もあって、ウッカリ披露してしまったのだろう、と訝っていました。

訝(いぶか)って
今年、2023年(第6回)、伊藤は、「チーム羽生」に指名されました。(註2)
そして、なんと!
またまた、惜しげもなく新手を披露したんです。
ええ~っ!!
私は、感動しましたね。
羽生さんが、恐縮し、お礼を述べていたのですから、新手に間違いありません。
チームメイトの梶浦七段も、口には出しませんが、燃えたに違いない。
結局、5勝0敗の完勝で、チーム山崎を倒してしまった。
伊藤は、承知の上で、本来なら公式戦で使う秘密兵器を出動させた。
ウッカリ引鉄を引いたんじゃあ、ない。

引鉄(ひきがね)
いや~、実に気風の良い、男らしい男だったんですね~。
もう!もう!大ファンになっちゃいました。
前期は、順位戦B級2組へ昇級の好機を逃しましたが、今期は上がりましょう。
そして、早い時期に、聡太君のタイトルに挑戦しましょう!
頑張れ!伊藤匠!
今期、伊藤匠六段に注目です!!
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【プロフィール】2023年6月10日現在
伊藤匠(いとう たくみ)六段
生年月日:平成14年(2002年)10月10日生、現20歳
出身地:東京都世田谷区
師匠:宮田利男八段
竜王戦:5組
順位戦:C級1組
四段昇段:令和2年(2020年)10月1日、17歳
棋戦優勝など:第52期(2021年)新人王戦 優勝
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【註解】
註1.「チーム藤井」のメンバー
第4回(2021年)ABEMAトーナメント
「チーム藤井 最年少+1」 リーダー・藤井聡太二冠(当時:王位・棋聖) 伊藤匠四段(当時) 高見泰地七段
聡太君が伊藤を選んだのは、服部慎一郎四段を加えて「最年少チーム」にしようと計画していたんですが、それは頓挫した。
註2.「チーム羽生」のメンバー
第6回(2023年)ABEMAトーナメント
「チーム羽生 不動心」 リーダー・羽生善治九段 梶浦宏孝七段 伊藤匠五段(当時)
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【対局ニュース】
第94期 ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第1局
▲藤井聡太棋聖(名人・竜王・王位・王将・叡王・棋王)vs △挑戦者・佐々木大地七段
対局日:令和5年(2023年)6月5日(月)
場所:ベトナム 「ダナン三日月」ホテル
持時間:各4時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:9時
終了時刻:18時56分
結果:113手で先手・藤井棋聖の勝ち。
五番勝負シリーズの成績は、藤井1勝、佐々木0勝。