週刊・将棋速報(2023年8月17日)号外

竜王戦ドリーム!伊藤匠六段が挑戦者に!

5組優勝の伊藤君が、史上初、挑戦者決定三番勝負に漕ぎつけた。

これだけでも、最大の賛辞を惜しまないところ。

若手で有望株の伊藤君とは言え、順位戦C級1組、竜王戦5組、要するに、五段クラス。

相手の永瀬拓矢王座は、竜王戦1組、順位戦A級の棋界トップの一人。

決勝トーナメントのラスボスに相応しい。

伊藤の勢いも、流石に、ここまでだな、と、誰もが思ったに違いない。

最後は、永瀬が勝って挑戦者だろう、と。

ところが、なんと、なんと、2連勝で、永瀬を下して挑戦権を獲得してしまった。

その上、勝ち方が強かった。

運よく勝ったとか、勢いだけで勝った、とかじゃあない。

第1局は、後手永瀬が誘導した一手損角換。

未知の力将棋になった。

永瀬王座相手に序盤からリードを奪って、そのまま勝ち切った。

伊藤の完勝!

第2局は、終盤、二転三転。

AI(将棋ソフト)の評価値を追っていると、最後の最後、永瀬が勝ちを逃したように見える。

いや、いや、簡単じゃあない。

難解!難解!

でも、大抵、こういう将棋は、上位者が勝つとしたもの。

相撲に譬えれば、倒れてみたら自分の身体が上になっていた、と、言うようなもの。

それを上位者の永瀬がやったのではなく、下位者の伊藤がやった。

本当に、強い!

伊藤は、藤井聡太竜王より2ケ月若い、年下の挑戦者。

以前にも書きましたが、聡太君が、今、最も恐れる相手です。

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【対局ニュース】

第36期竜王戦 決勝トーナメント 挑戦者決定三番勝負 第2局
▲永瀬拓矢王座(1組3位)vs △伊藤匠六段(5組優勝)
対局日:令和5年(2023年)8月14日
場所:東京・将棋会館「特別対局室」
持時間:各5時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:10時
終了時刻:22時58分
結果:146手で後手・伊藤の勝ち、挑戦権を獲得した。

伊藤は、同時に、七段に昇段。
竜王戦七番勝負は、10月6・7日に「セルリアンタワー能楽堂」で開幕する。

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【プロフィール】2023年8月14日現在

伊藤匠(いとう たくみ)七段

生年月日:平成14年(2002年)10月10日生、現20歳
出身地:東京都世田谷区
師匠:宮田利男八段
竜王戦:5組
順位戦:C級1組

四段昇段:令和2年(2020年)10月1日、20歳。
七段昇段:令和5年(2023年)8月14日。
棋戦優勝など:第52期 新人王戦優勝(2021年)

通算成績:137局 107勝 30敗 勝率0.7810