週刊・将棋速報(2023年8月21日号)

王位戦第4局、佐々木の完勝!

いや~!佐々木大地七段、強かったですね~

じわじわと優位を広げて、最後、土俵際で寄り切る、

と言う、落ち着いた勝ち方。

佐々木の長所が十二分に発揮されたんじゃあないでしょうか。

終盤、やや疑問手もあったみたいですが、終始ペースを握っていました。

佐々木の完勝と言って良い、と思います。

勝因は、精神的な面で言えば、

今シリーズ、開幕から3連敗で、開き直ったことか。

後悔のないように指そうと、晴れ晴れとした心境で臨んだのでしょう。

なんか、やっと、タイトル戦に馴れて来たって感じですね。

指し手の面では、佐々木の31手目▲8六金が、聡太君を恐れない勇気ある一手でした。

ここから、ペースを握り、聡太君の飛車を圧迫する作戦が功を奏しました。

この▲8六金は、我々素人でも解りますが、佐々木をよく識り、聡太君をよく観察している佐々木の師匠・深浦九段は、17手目▲9六歩が素晴らしかった、と絶賛していました。

深浦九段は、滅多に佐々木を褒めないんですが、珍しく感心してました。(註1)

藤井王位の研究に乗らず、自分のペースに持ち込んだ、と。

両人をよく理解しているプロにしか判らない指摘ですね。

次の第5局は、藤井王位の先手番。今期まだ負けなしです。(註2)

もし、佐々木がこれに勝てば、七番勝負は判らなくなります。

大一番です。

大注目の第5局は、今週8月22日から始まります。

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【対局ニュース】

伊藤園お~いお茶杯王位戦 第64期 七番勝負 第4局
▲佐々木大地七段(28歳)vs △藤井聡太王位(竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖、21歳)
対局日:令和5年(2023年)8月15・16日
場所:佐賀県嬉野市「和多屋別荘」
持時間:各8時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:9時
終了時刻:18時26分佐々木大地七段
結果:85手で先手・佐々木の勝ち。シリーズ成績を1勝3敗とした。

第5局は、8月22・23日に、徳島県徳島市の「渭水苑」で行われる。

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【プロフィール】2023年8月16日現在

佐々木大地(ささき だいち)七段

生年月日:平成7年(1995年)5月30日生、現28歳
出身地:長崎県対馬市
師匠:深浦康市九段
竜王戦:4組
順位戦:C級2組

四段昇段:平成28年(2016年)4月1日、20歳。
七段昇段:令和4年(2022年)4月28日。
棋戦優勝など:なし。

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【註解】

註1.師匠・深浦九段は・・・感心してました。

2日目昼食休憩時に控室を訪れた佐々木の師匠・深浦康市九段の感想。

「佐々木が1日目に指した☗9六歩(17手目)に感心しました。☗2四歩が第一感で指したくなりますが、藤井さんの誘導したい形を把握し、しっかりと長考して自分の土俵で戦っています。これまでの王位戦の反省を踏まえて判断したはずで、師匠としてはうれしく思います。」

註2.藤井王位の先手番。今期まだ負けなしです。

藤井王位は、今期(2023年度)、先手番11局を全て勝っている。
通算でも、勝率.893の驚異的な勝ちっぷり。

 

 

藤井聡太の先手勝率20230817