王座戦展望~ちょっと焦った聡太君を見てみたい(笑)
王座戦 第1局、聡太君は、先手番で黒星を喫しました。
聡太君、ピ~ンチ!
なんですが、聡太君は、まだまだ、「本気」じゃない。
と、前回、書きました。
「本気」じゃないとは、聡太君が手を抜いている訳ではありません。
脳に汗を搔き、一生懸命指している。
但し、聡太君は、全て相手の選んだ戦型に追随しているのも事実。
すなわち、相手が招待する部屋へニコニコしながら入っているんです。
色々な仕掛けや落とし穴が用意されているのを百も承知で・・・
それは、初手、先手番なら▲2六歩、後手番なら△8四歩しか指さないことが証拠です。
△8四歩は、歴代の強豪居飛車党が、「王道」と称して、皆、一時期やっていましたので、珍しいことではありません。先の名人戦開幕までの渡辺明・前名人も、そうでした。しかし、先手▲2六歩に固執するのは珍しい。
ですから、これ以外の手を指したときを「本気」
、と、独断と偏見で呼んでいます。
過去、「本気」を出した、すなわち、先手番で初手▲7六歩と指して、自分の意図する戦型に導いたのは、通算約400局中、僅か8局のみ。(註1)
驚きでしょう!?
それも、ここ2年半、初手▲7六歩は指していない。
叡王、竜王、王将、棋王、名人の5つのタイトル戦があったにも拘わらず・・・キャ~ッ!!
もし、今回、王座戦で出だし2連敗したとしたら。
第3局は、聡太君の先手番。
初手▲7六歩と指すかも知れません。
ワクワクするな~(笑)
いや、勿論、第2局、聡太君に勝って貰いたいんですよ。
応援もしますよ。
えっ!?
悪趣味!?
いえ、いえ、聡太君が強いことは、もう十二分に解ったじゃあないですか。
聡太君が、ちょっと焦って、先手番で初手▲7六歩と指すのも見てみたくありません?
あははは
贅沢な望みかな?
もっと言うと、さらに次の楽しみがあります。
聡太君が八冠を奪取した後は、後手番で△3四歩と指して欲しいなあ~
、と。
そして、私の聡太君に対する夢は・・・
5年後に永世名人、永世竜王の資格を得たら、振飛車党へ変身してくれないかなあ~
、と。
名付けて「スーパー新・藤井聡太!」
どうです?
あははは
王座戦 第2局は、明日9月12日に神戸市で行われます。
**********
【註解】
註1.過去、先手番で本気を出した・・・
藤井聡太君が2016年10月に四段になってから丸7年間。
公式戦、通算406局(先手198局、後手207局)のうち、初手▲7六歩と指して、自分の意図する戦型に導いたのは僅か8局のみ。(2023年9月11現在)
後手番で聡太君は全て△8四歩。要するに、相手の言いなり。戦型の選択権は先手番の相手にありますから、実質、戦型選択をするのは聡太君が先手番のときのみ。
〔藤井聡太君が、過去、先手番で初手▲7六歩と指した対局〕
9.令和3年(2021年)4月16日 第34期 竜王戦 2組ランキング戦 ▲藤井聡太七段(18歳)vs△八代弥七段(27歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
8.令和2年(2020年)11月19日 第70期 王将戦 挑戦者決定リーグ ▲藤井聡太二冠(王位・棋聖 18歳)vs△木村一基九段(47歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
7.令和2年(2020年)8月4日 第61期 王位戦 七番勝負 第3局 ▲藤井聡太棋聖(18歳)vs木村一基王位(47歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
6.令和2年(2020年)6月8日 第91期 棋聖戦 五番勝負 第1局 ▲藤井聡太七段(17歳)vs渡辺明棋聖(王将・棋王 36歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
5.令和2年(2020年)4月3日 第33期 竜王戦 3組ランキング戦 ▲藤井聡太七段(17歳)vs△千田翔太七段(25歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
4.令和元年(2019年)11月19日 第69期 王将戦 挑戦者決定リーグ ▲藤井聡太七段(17歳)vs△広瀬章人八段(32歳) 後手・広瀬勝ち。先手矢倉。
3.令和元年(2019年)6月22日 第69期 王将戦 一次予選戦 ▲藤井聡太七段(16歳)vs△千田翔太七段(25歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
2.令和元年(2019年)11月5日 第78期 順位戦 C級1組 6回戦 ▲藤井聡太五段(17歳)vs△青嶋未来五段(24歳) 先手・藤井勝ち。先手矢倉。
1.平成29年(2017年)10月9日 第3期 叡王戦段位選別予選 四段予選決勝戦 ▲藤井聡太四段(15歳)vs△杉本和陽四段(26歳) 先手・藤井勝ち。後手振飛車。
9局あるが、2017年10月9日の対・杉本四段戦は、杉本が振飛車党なので、対象外。初手に関係なく、戦型の選択権は後手・杉本にある。
よって、聡太君が、自分の意図する戦型に導いたのは残り8局となる。