週刊・将棋速報(2023年7月31日号)

王位戦第3局、藤井王位、勝って防衛に王手!

佐々木大地七段が、棋聖戦、王位戦の両方の挑戦権を獲得した時。

聡太君は「苦戦する!」と予想する棋士が多かった。

まあね。

聡太君圧勝と予想したんじゃあ、タイトル戦が盛り上がりませんからね(笑)

でも、そのリップサービス分を差し引いても、番勝負は縺れるだろう、と思われた。

縺(もつ)れる

案の定、棋聖戦第2局で、聡太君が、逆転負けを喫して、

「やっぱり!ねっ!」

と、棋界スズメは、予想が的中した、と、ご満悦。

ところが、その後、聡太君は、佐々木に対して、5連勝!

(棋聖戦2連勝して防衛!王位戦開幕から3連勝!)

ええっ!?

佐々木大地!どうした!?

スズメの面目丸潰れ!(泣)

斯(か)く言う私も、そのスズメ(笑)

あははは

5連勝の原因は、聡太君の「対応力」にあり!

具体的には二つ。

一つは、収束を慎重に行っていること。

もう一つは、戦略を変更したこと。

詳細は、「新・将棋論考」に書きます。

まあ、兎に角、聡太君の「対応力」が凄い。

大谷翔平が、メジャーリーグで今年も活躍しているのは、「対応力」以外の何物でもない。

だってね、相手だってプロですからね。

毎年やられっ放しって理由(わけ)ない。

必ず、大谷の長所短所を研究し、対策を練ってくる。

一年ポッキリ活躍した選手は、山ほど居る。(註1)

だけど、毎年活躍するには、相手の上を行く「対応力」が、必須条件だ。

聡太君は、大谷翔平と同様に、「対応力」を具えている。

竜王戦が熱い!伊藤匠六段が挑戦者決定戦へ!

いや!いや!いや!

注目の棋士・伊藤匠六段

やりましたね~

竜王戦5組で優勝して決勝トーナメントへ進出。

並みいる強豪を次から次へと破って5連勝!

とうとう挑戦者決定三番勝負に漕ぎつけた!

凄い!

第36期竜王戦決勝トーナメント

過去、4連勝して一歩手前まで登った棋士は居たが、決定三番勝負に辿り着いた者は一人も居ない。(註2)

史上初の快挙!

もし、伊藤が挑戦者となれば、聡太君より2ケ月若い、年下の挑戦者となる。

聡太君が最も恐れる相手です。

3年前、棋聖、王位と奪取して二冠になった聡太君が「急がなければ」とインタビューで答えた。

これに王将位を獲ったことのある某ベテラン棋士が、

「こんなに強いのに、何を恐れて急ぐのかなあ」

と、首を傾げていました。

聡太君の「急がなければ」は、決して誇張ではないのです。

なぜなら、羽生善治永世七冠が19歳のときに同じことを語っているからです。

当時、その手記が新聞に載り、米長邦雄九段は切り抜いて、壁に貼り、毎朝、朗読した、と言うエピソードが残っています。(註3)

そう!天才は天才を知る!

藤井聡太七冠は、年上の強豪をちっとも恐れていないんです。

自分より若い天才の出現を恐れているんです。

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【対局ニュース】

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦 七番勝負 第三局
▲藤井聡太王位(名人・竜王・王将・叡王・棋聖・棋王)vs △挑戦者・佐々木大地七段
対局日:令和5年(2023年)7月25日・26日
場所:北海道小樽市の旅館「銀鱗荘」
持時間:各8時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:9時
終了時刻:19時01分
結果:131手で先手・藤井王位の勝ち。
七番勝負シリーズの成績は、藤井3勝、佐々木0勝。
王位戦4連覇に王手をかけた。

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第36期竜王戦 決勝トーナメント
▲伊藤匠六段(5組優勝)vs △稲葉陽八段(1組優勝)
対局日:令和5年(2023年)7月27日
場所:関西将棋会館「御上段の間」
持時間:各5時間(ストップウォッチ方式)
開始時刻:10時
終了時刻:22時02分
結果:113手で先手・伊藤の勝ち。

伊藤は、挑戦者決定三番勝負に進出。相手は永瀬拓矢王座。

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【プロフィール】2023年7月31日現在

佐々木大地(ささき だいち)七段

生年月日:平成7年(1995年)5月30日生、現28歳
出身地:長崎県対馬市
師匠:深浦康市九段
竜王戦:4組
順位戦:C級2組

四段昇段:平成28年(2016年)4月1日、20歳。
七段昇段:令和4年(2022年)4月28日。
棋戦優勝など:なし。

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【註解】

註1.一年ポッキリ活躍した選手は、山ほど居る。

直近では、ゲレーロjr。2021年大谷とMVPを争った。
2021年のゲレーロjrの成績は、打率.311、本塁打48本、打点111。
2022年のゲレーロjrの成績は、打率.274、本塁打32本、打点97。
2023年7月31日現在の成績は、打率.267、本塁打17本、打点66。
因みに、大谷の成績は
2023年7月31日現在、打率.302、本塁打39本、打点81。

註2.過去、4連勝して一歩手前まで登った棋士

第33期竜王戦決勝トーナメントの梶浦宏孝六段は4連勝!

しかし、5戦目で1組優勝の羽生九段に敗れた。

第33期竜王戦決勝トーナメント

註3.当時、その手記が新聞に載り・・・

「羽生善治名人 十九歳の手記『絶えず前向きな勉強が必要』」