詰将棋力の高い人が、終盤が強いとは限らない。PART5
詰将棋解答選手権で5連覇を誇る聡太君。(註1)
12歳で初優勝したときからプロ棋士に注目を浴びていた。
全問正解で時間も並みいるプロ棋士の半分の消費時間だった。
ブッチギリの優勝!うわ~!(笑)
この「詰将棋力の高さ」イコール「終盤の強さ」だと、皆、口を揃える。
しかし、これは間違い。
確かに、幼い将棋ファンに、強くなる為には「詰将棋をやりなさい」と指導する。
だが、「詰将棋力の高さ」は必要条件であっても、「終盤の強さ」の十分条件ではない。
その証拠に、過去、詰将棋解答選手権で5度優勝している宮田敦史七段は、未だに順位戦C級1組であり、タイトル戦に一度も登場したことがない。(註1)
詰将棋解答選手権で2度優勝した斎藤慎太郎八段は、A級で2年連続優勝し、渡辺明・前名人に挑戦したが、歯が立たなかった。(註2)
北浜健介八段、船江恒平六段は、共に優勝経験はあるもの順位戦でA級に届いていないし、タイトル戦に登場していない。
逆に、広瀬章人八段は、毎回上位入賞しているものの優勝したことがない。その広瀬は、王位1期、竜王1期、A級在籍10期。
従って、詰将棋力が高い棋士が、必ずしも、好成績ではないのだ。
よって、聡太君の「強さ」「実力」は、総合力なんですね。
中盤の強さも、終盤の強さも、そして、詰将棋の解答力も、詰将棋の創作力も、全て「才能」。
追記:聡太君は詰将棋作家連から期待されているのは有名な話。
渡辺明が『将棋の渡辺くん』の中で、渡辺自身と聡太君の違いを「才能」と言い切ったのは、至言。
百年に一人の大天才は、天才にしか理解できない。
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【註解】
註1.詰将棋解答選手権
註2.渡辺明・前名人に挑戦したが、歯が立たなかった。
斎藤慎太郎八段は、第79期第80期七番勝負で、2度、渡辺明名人に敗退。
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